欲望から生まれた、簡易プロジェクター 5万円。

2010年12月06日

 当時あるビデオ雑誌の中で、常識を覆す代物が紹介されていました。タイトルが「14型テレビの画面が100型になります」みたいなフレーズで、紹介されていました。本体(テレビ無し)と特性スクリーンまで付いていて、「ナント50,000円」。家庭で映画が見れる!、もう買わないと損するかのように書いてありました。

 時代は丁度25型のテレビから、28型や32型テレビが安くなり、大型テレビに移行していた時期でもありました。その当時のプロジェクターの価格は、 200万円から300万円と一般市民にとっては、かけ離れた存在だったのでマニアックな人たちは買ったのではないかと思います。しかし販売方式が店頭販売ではなく、「通信販売」というのがちょっと怪しい感じがするのですが、ナント私の友人は買ってしまったのです。(エライ!)

欲望から生まれた、簡易プロジェクター 5万円。
※現物が無いのでイメージです。

 ある日友人は「粗大ゴミ」みたいな「簡易プロジェクター」を、普通乗用車に無理やり押し込んで、40キロ離れた私のところまで運んでくれて、1ヶ月間貸してくれました。

 仕組みというか原理は簡単なもので、少し起用な人であれば作れそうな物でした。テレビから発する光を、45度傾けた鏡に反射させることにより光を90度曲げ、その鏡に映った光をレンズを使って拡大するという常識を覆す(常識破り)代物でした。

欲望から生まれた、簡易プロジェクター 5万円。
※現物が無いのでイメージです。

 本体は「腰が抜ける」ほど簡素な作りでしたが、100cm×130cmの「特性スクリーン」も凄かった。材質は小学生のころ、古新聞で紙粘土を作った覚えがありますが、その方法と同じ作り方なのでしょうか古紙を溶かして、金型で圧着したような「いかにも」ってな感じの特性スクリーンに驚きました。ある雑誌にこのメーカーの制作者コメントに「スクリーンを作るのが一番難しかった」との記事もありました。

 私はこれを見て「凄い!」と口走ったのを覚えています。それより凄いと思ったのは「仕組み」もそうですが、これを「販売」しようと思った制作者も「凄い!」冗談なのか本気なのか、不思議でたまりませんでした。
 
 しかし実際に見てみると、さすがに画面の大きさに驚きましたが、映画と違ってテレビですから「走査線」が異様に「ハッキリ」見えるのに驚きました。
 綺麗?に見るには微調整がポイントでした。テレビが壊れるのではないかというぐらい明るさを最大にして、コントラストもできるだけ最大にしなければなりませんでした。お約束は部屋の電気は全て消さなければ、ハッキリ見ることが出来きないというオマケ付きでしたね。

 評判が良かったのか、いろんなメーカー(怪しい)から同じような物が発売されて、ビデオ関連の雑誌では「メーカー別テスト」などの特集を組んでいました。中には「14型より17型がいい」とか、「このメーカーのレンズがいい」などといい加減な内容の記事を掲載していましたが、ブームはいつの間にか消えていきました。

 何年かして友人に、あの「インチキプロジェクター」はどうした?と聞いたら、「ゴミに出した!」との返事でした。

つづく


Posted by 熱中人 at 09:36
 

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欲望から生まれた、簡易プロジェクター 5万円。